盛岡南皮膚科クリニック

Urticaria

蕁麻疹

皮膚の痒みと赤味、盛り上がり、引っ掻くとミミズ腫れになったり、まだらに出たりします。
症状が急に出て、数時間(24時間以内)で引いてくることが多いです。
アレルギー性の場合よりも、ストレスや疲労や食事、感染症など日常生活上刺激が原因と推定されるがはっきりしないの場合と、原因不明の特発性蕁麻疹が7割以上です。
アレルギー性の蕁麻疹など原因がはっきりしている場合は同じ状況で蕁麻疹が再現します。
皮膚の痒みや発疹は刺激を受けた肥満細胞からヒスタミンという化学伝達物質が放出され、血管から血液中の水分の一部が皮膚や粘膜の下に漏れ出すため、むくみの様に盛り上がった発疹が出てきます。
通常はヒスタミンの作用をブロックする抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服を行います。
塗り薬は根本的にはあまり効果は期待できませんが、かゆみを抑えるために使用する場合もあります。
症状が強い場合は副腎皮質ステロイド薬の内服や点滴、抗ヒスタミン薬の注射や点滴を行う場合があります。
蜂刺されや食物アレルギーや薬剤アレルギーなど重症の場合は呼吸困難や下痢など粘膜のむくみ症状を合併し、アナフィラキシーやもっと重症のアナフィラキシーショックになる場合があり、その場合はアドレナリンの注射や点滴、酸素吸入など救命救急処置が必要になります。
蕁麻疹(じんましん)の分類
期間からの分類
急性蕁麻疹: 発症から1ヶ月以内に改善し、大部分はこれに該当します
慢性蕁麻疹: 発症から1ヶ月以上継続し、常に出ている訳ではないが、頻繁に繰り返します
原因からの分類
アレルギーや特定の状況で起きる蕁麻疹、特徴のある蕁麻疹
アレルギーや特定の状況で起きる蕁麻疹、特徴のある蕁麻疹
(1)アレルギー性蕁麻疹 
特定の原因で起きる蕁麻疹で、食物アレルギーや薬剤アレルギーの際に原因物質(アレルゲン)を摂取することで蕁麻疹が起きます。
小麦、卵、牛乳、豆乳、甲殻類、果物、野菜、ナッツ、魚介類、魚介類の寄生虫アニサキス、薬品などが原因になります。
基本的に原因物質で、毎回症状が出ますが、体調や調理の状態に影響を受けることがあります。
(2)食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
小麦や甲殻類などのアレルギーと運動負荷の両方が加わった場合に起きる蕁麻疹・アナフィラキシーです。
例えば、昼食後に体育や部活で運動した時などに出ます。
体調や薬剤の内服なども影響するので、原因不明のアナフィラキシーと診断されていることもあります
(3)外来物質による非アレルギー性蕁麻疹
造影剤の注射、サバ、豚肉、タケノコなどで起きるがアレルギー性ではないので、検査で検出できません。
(4)不耐症による蕁麻疹
仮性アレルギーとも言われ、アスピリンなど鎮痛剤や食品添加物、防腐剤、着色料など摂取した後に起きるが、アレルギーや免疫学的なメカニズムによらないものです。 FDEIAの増悪や原因不明の慢性蕁麻疹の悪化要因になる場合もあります。
(5)物理性蕁麻疹
  1. 機械性蕁麻疹 圧迫や摩擦を受ける部分に起きる蕁麻疹
  2. 寒冷蕁麻疹 冷気や冷水になどの刺激で起きる蕁麻疹
  3. 温熱蕁麻疹 温熱刺激で起きる蕁麻疹
  4. 日光蕁麻疹 日光に当たった後に起きる蕁麻疹で、原因は可視光線から紫外線まであります
  5. 水蕁麻疹  水への接触後に起こる蕁麻疹
(6)コリン性じんましん
疲労や精神的緊張、運動、温熱刺激などで痒みが強い通常の蕁麻疹よりも小さい蕁麻疹が出てきます。
アセチルコリンの関与が考えられています。
(7)接触蕁麻疹

食物、薬品、ラテックスなどの接触後にアレルギー性で起きる場合と、防腐剤や香料などで非アレルギー性に起きるものもあります。

  1. ラテックス・アレルギー
    天然ゴムの成分ラテックスにより接触蕁麻疹やアナフィラキシーを起こします。
    バナナ、アボカド、キウイ、クリでも交差反応でアレルギーを起こすと、ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれます。
  2. 口腔アレルギー症候群(OAS)
    特定の食物(リンゴ、モモ、メロン、ナシ、ビワ、サクランボ、キウイ、トマトなど)が原因で、摂取後口腔刺激感や咽頭閉塞感が起こり、蕁麻疹や喘息、アナフィラキシーを起こすこともあります。
    花粉症・喘息・アトピー性皮膚炎の方に多いとされています。
  3. 血管浮腫(=クインケ浮腫)
    口唇やまぶたなど顔面が腫れる病気で、通常の蕁麻疹より深い部分(皮下組織)で起きる蕁麻疹です。
    遺伝性と非遺伝性があり、繰り返し起きることもあります。